感染性胃腸炎とは
- いわゆる「下痢症」といわれる
- ウイルス性のものと細菌性のものがある
- ウイルス性のもの=ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、など
- 細菌性のもの=病原性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、など
ノロウイルスとは
- 流行期は11月から翌年の3月ごろまで
- 寒くて、乾燥している季節に活発化する
- 患者の便には高濃度のウイルスが存在(100万から10億個も、しかも長期間の排出が続く)
- ごくわずかのウイルス(10~100個)で感染が成立する(しかし、このウイルスは、他のウイルスのように培養細胞で大量に増やすことができない。いろいろな研究機関でノロウイルスの培養法確立の研究が行われており、これが成功するとノロウイルスに効く抗ウイルス薬や感染予防ワクチンの開発が進むと考えられる)
- 食材は熱処理することが大事
- トイレの後は手洗いが必須(患者が手洗いせず、100万個程度のノロウイルスが手についていたとすると、流水で15秒手洗い後で1万個程度が残っており、ハンドソープで10秒もみ手洗い後に流水で15~30秒すすぎで100個程度が残っており、ハンドソープで60秒もみ手洗い後に流水で15秒すすぎで10個程度が残っており、さらにハンドソープで10秒もみ手洗い後に流水で15秒すすぎを2回繰り返すことでやっと1個程度が残っている状態(健栄製薬、https://www.kenei-pharm.com/tepika/column/disinfection/column159/)
- ノロウイルスの消毒にはアルコールは無効で、次亜塩素酸ナトリウムが有効。次亜塩素酸ナトリウム消毒液は、市販の塩素系漂白剤(キッチンハイターは5%の次亜塩素酸ナトリウム濃度)。嘔吐物や糞便が付着した場所の消毒には濃度0.1%(50倍希釈);ドアノブや手すりの消毒には濃度0.02%(250倍希釈)
- 給食調理に従事する人たち:長年、調理に従事していると徐々にノロウイルスに対して抵抗性が出てくる(このウイルスに対する免疫力が誘導される)。こうなると、感染して体内である程度増えている状況になっても、下痢症を起こさずに健康体を維持できる(不顕性感染状態;一般人ではこの不顕性感染率は30~50%といわれているので、これが知らぬ間にノロウイルスに感染していたということになる)。そこで、このような業務に従事する人たちには、年2回以上の検便をしてノロウイルスを産生していないことを確認している(「大切な家族を感染症から守る本」<生田和良・著、講談社>)https://www.kspub.co.jp/book/detail/5211793.html