インフルエンザシーズンが到来

ウイルス感染症

インフルエンザウイルスの起源

シベリアやアラスカ、カナダの北極圏に近い場所で生息していたカモの腸内ウイルスが起源といわれています。このウイルスに感染したカモは特に症状もなく、それまでと同じように行動します。そのカモの糞の中に紛れ込んでいたウイルスが次々と他のカモにうつっていったようです。冬になると南の方に渡ってきて、カモからアヒルへ、そしてブタへとうつっていったということです。

このウイルスの遺伝情報を蓄えているゲノムはRNAと呼ばれる核酸です。ゲノムをコピーして子ウイルスを生産するのですが、コピーをする際に読み間違いをすることで、いろいろな変異株を生産する特徴があります。その変異株の中に、ニワトリやブタに感染できるウイルスが出現してきました。

そもそも、このウイルスは19世紀初頭に発見されたことに始まっています。

全世界に大流行したA型インフルエンザウイルス(H1N1)は、1918年から1920年にかけて発生し、世界的な大流行(スペインかぜ)となり、ウイキペディアによると、「全世界で5憶人が感染し、死亡者数は5,000万~1億人以上とも言われている。この時期は第一次世界大戦中であり、世界で情報が検閲されていた中で、スペインは中立国であり、戦時の情報統制下になかったので、このパンデミック状況が自由に報道され、この名が付けられた。」

インフルエンザ菌(ヘモフィルス・インフルエンザ)は、1892年のインフルエンザが流行した際、ドイツのコッホ研究所のPfeifferと留学中の北里柴三郎が、インフルエンザ患者の鼻咽頭から桿菌の分離に成功し、これがインフルエンザ菌と命名され、流行しているインフルエンザの原因と考えられたが、その後にインフルエンザの原因という点は否定された(見えない敵との闘い ―パストゥール最後の弟子エルサンの生涯― アンリ・H・モラレ、ジャックリーヌ・ブロソレ(瀬戸昭 訳)、人文書院;エルサン 孤高の挑戦、近年発見された千通に及ぶ手紙など豊富な資料を駆使して、19世紀後半の医学や臨床教育、ペストなどの疾病との闘い、ベトナムでの獣医学・畜産学・熱帯農業への取り組みに全情熱を捧げた80年の生涯を余すところなく描いた詳細な伝記;この本では北里柴三郎との接点についても詳しく描かれている)。しかし、細菌の名前はそのまま残され、現在でも肺炎の原因にもなっている重要な病原菌であり、ワクチンも開発されているインフルエンザ菌b型(Hib)です。

ヒトのインフルエンザウイルス

トリやブタなどの動物が持っているインフルエンザウイルスがヒトに感染することがあります。今日では、H1N1、H2N2、H3N2、そしてH5N1、H7N9などの鳥インフルエンザウイルスが知られています。トリやブタが持っているインフルエンザウイルスに遺伝子変異が発生して、ヒトにも感染し得るウイルスが発生した場合には、これまでヒトは誰もそのウイルスに対する免疫(抗体)を持ち合わせていないため、たちまち感染拡大し、パンデミック状態になります。これまでも10~20年ごとにこのようなパンデミックが発生し、人間社会に定着しています。H2N2は1957年に出現し、その後も11年間流行し続けたウイルスでAアジア型と呼ばれていたものですが、このウイルスもそろそろ再びこの地球上に現れるかもしれません。そうなると再興インフルエンザウイルスとなります。

今シーズンのインフルエンザ

今シーズンもA型(H1N1)とA型(H3N2)の流行が予想されています。これらの型は、過去数年の流行パターンからも引き続き注意が必要とされています。

特に、A型(H3N2)は高齢者が重症化しやすい傾向があるため、予防接種や基本的な感染対策が重要です。また、B型インフルエンザも例年春先にかけて流行することが多くなっています。

タイトルとURLをコピーしました