手足口病の季節

感染症あれこれ

 手足口病は、字のごとく、手と足、それに口に同じようなコメ粒ほどの小さな水泡(水ぶくれ)ができる病気で、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる感染が原因である。子どもが罹ると、親に感染することが多い。また、このウイルスには多くの型があり、抗体が共通ではないため何回も感染する。

 コクサッキーウイルスが原因であるヘルパンギーナという病気もあり、症状はほぼ同じであるが、水泡が喉(咽頭)にだけできる。原因も症状も似ているので、国によってはひとつの感染症として扱っている。

 どちらも発熱を伴うことが多く、水泡ができて大変であるが、比較的軽い病気である。数年ごとに流行し、手足口病ヘルパンギーナが同時に発生する年は少ない。

 これらの感染症の原因となるエンテロウイルスとコクサッキーウイルスは、エンテロウイルス属と総称される。このエンテロウイルス属には、他にエコーウイルスやポリオウイルス(小児麻痺の原因となる)が含まれる。最近、このエンテロウイルス属に含まれるウイルスが、髄膜炎脳炎、心筋炎などに関係していると報告されている。また、1型糖尿病にも関係しているとして研究が進められている。このエンテロウイルスに対するワクチンが、糖尿病の発症を予防するワクチンとしても有効と考えられ、開発が進められている。

 子どもの感染で問題となるのは、発症前数日から発症後も4~5週間、しかも症状回復後も咽頭や便から感染性のあるウイルスが排出されている。そのため、登園・登校について医師の判断を仰がなければならない。




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