インフルエンザの生ワクチン:フルミスト(FluMist)について

ウイルス感染症

欧米では20年以上前から使用されていたフルミストが、日本でも2024年から正式に承認され接種できるようになりました。

フルミストの開発

フルミストはアストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ)の子会社であるMedImmune LLC(メディミューン)が開発したインフルエンザ生ウイルスワクチンです。このワクチンはアメリカで2003年に初めて承認され、その後他の国々でも使用されるようになりました。日本では、第一三共株式会社が、2015年9月、メディミューンとの間で、国内における本剤の開発・販売に関するライセンス契約を締結し、開発を進めていたもので、国内において初めての経鼻投与によるインフルエンザワクチンとして承認されました(製造販売承認日 2023年3月27日)。

参考資料:フルミスト点鼻液の基本情報、日経メディカル

フルミストはどのようなワクチンか?

鼻に噴霧するワクチンのため痛みはありません。対象は2歳~18歳で、接種回数は1回です。これまでのインフルエンザワクチンは皮下に注射する不活化ワクチンであり、重症化予防が目的でした。今年、新しく任意接種が承認され、この10月から接種が始まっているフルミストは鼻に噴霧する生ワクチン(2歳以上19歳未満が対象で、左右の鼻の穴に1回ずつスプレー;高齢者は接種できません)であり、鼻咽頭での粘膜免疫を誘導することが可能、すなわち鼻から喉にかけての粘膜上に抗体を産生して、インフルエンザウイルスが鼻や喉の粘膜に感染するのを防御できることが特徴です。

副反応(発熱、鼻水、喉の痛み、咳、頭痛、筋肉の痛みなど、インフルエンザに似た症状が1〜10%程度見られることがあります。軽い鼻づまりや喉の違和感は10~50%程度の人に見られます。)

接種不適当者(明らかな発熱、重篤な急性疾患、アナフィラキシーの既往歴、免疫機能に異常のある疾患、妊娠中など)

以上、フルミストは、多くの人々にとって便利で効果的なインフルエンザ予防手段ですが、それぞれの健康状態や症状によっては適用が制限されることもあります。接種を検討する際には、医師と相談することが重要です。

なお、注射の不活化ワクチンの場合、生後6か月以上13歳未満は2回接種です。10月ごろに1回目を接種し、およそ2~4週間(できれば4週間)あけて2回目を接種します。13歳以上は通常1回接種です。

参考資料:Know VPD! 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)について

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