髄膜炎菌性感染症と髄膜炎菌ワクチン接種

ウイルス感染症

髄膜炎菌は、人から人へ直接感染しながら流行を引き起こす細菌です。年間30万人の発症者に対して3万人が死に至る致死率の高い病気です。感染症法では5類に分類されています。

患者(髄膜炎菌に感染した人)からの飛沫(患者の咳やくしゃみ由来)を吸い込んだ人の気道に入り、感染します。また、喫煙、キスなどの濃厚な接触や、保菌者に近い環境での居住も容易に感染を拡大させる要因となります。気道に入って感染すると、次に本来無菌状態であるはずの血中へ入り込み(この状態になると菌が全身に広がる可能性が発生)、さらに髄膜(脳と脊髄を包み込んでいる三層の膜<脳の外側から硬膜、クモ膜、軟膜>)に達して、炎症(髄膜炎)を起こします。

潜伏期間は平均3~4日(1~10日)で、突然の発熱や頭痛に始まり、髄膜刺激症状や悪心・嘔吐、意識障害などの症状が現れます。症状発現から死亡までの期間が短く、治療が遅れると健康な人でも24時間以内に死亡する可能性があります。先進国における感染症全体の死亡率は約10%、菌血症を伴う場合は約40%と言われています。難聴や神経学的異常、四肢の切断などの重篤な後遺症が約20%に見られます。

髄膜炎菌は健康な人の鼻やのどにも存在することがあり、感染しても必ず発症するわけではありません。

髄膜炎菌ワクチンが利用可能です。これらのワクチンは、細菌性髄膜炎の予防に非常に効果的で、ワクチン接種によって、これらの細菌による感染リスクを大幅に減少させることができます。


海外、特にアフリカの髄膜炎ベルト地帯や人が集まる場所を訪れる場合、またサウジアラビアでのハッジやウムラなどの巡礼者は、ワクチン接種を実施した後に訪問するなどの対策が必要です。

さらに、軍隊、寮生活、ユースのキャンプ、ライブコンサート参加者などもリスクになります。特に、海外留学を検討している場合も髄膜炎菌ワクチンを接種しておくことが推奨されています。

また、補体欠損症患者、無脾症、喫煙、間接喫煙、HIV感染症も感染のリスクになります。日本では、2013年4月から2023年3月までに274例が報告されています。世界では年間30万人の発症者に対して3万人が死に至る致死率の高い病気です。

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