新型コロナウイルスがヒトと共存する戦略

バムサジャーナルへの掲載総説

新型コロナウイルス(SARS−CoV−2)が人間社会に現れてから、5年以上が経過した。最初に分離されたウイルスは武漢株と名付けられた。その後は、免疫や薬剤などに抵抗するウイルス、いわゆる変異株と呼ばれる形に次々と身を変えている。このようにして産まれた変異株の特性は大量のウイルスを産生し、そのウイルスは感染しやすいことで、一気に世界中に行き亘らせることが可能となり、今も人間社会において生き長らえている。人間社会に出現した当時はヒトの命を脅かす存在であったが、変異株として身を変えるようになり、すっかり病原性を落として、ただひたすら人から人に次々とうつっていく存在になっている。もちろんこれは、免疫応答能がしっかりしている人たちにとっての話であり、高齢者や基礎疾患患者、そして免疫不全患者、さらに妊婦も免疫が抑制された状態と言えるので、たとえ弱毒性ウイルスといえども、依然として油断できない対象として認識する必要がある。今回は、新型コロナウイルスが次々と弱毒性の変異株を産み出す必要性について考察したい。

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