加藤先生の医史研究成果の紹介(4)

感染症歴史こぼれ話

イギリスのジェンナーによって開発された種痘法は、人類最初の高い感染防御率を示すワクチンであり、わが国にも導入されました。

驚いたことに、わが国で紹介されたジェンナーの業績内容には間違いがあったようです。最初のワクチン効果を試す被験者を「わが子」と記載されたために一種の美談として取り上げられていたことから、より一層強く印象付けられました。

しかし、実際には、搾乳婦の右手に牛痘ウイルスが感染してできていた痘疱材料の膿を8歳の牧童(ジェームズ・フィップス)に接種し、その後に強毒な痘瘡材料で攻撃実験を行い、牛痘種痘法が予防に有効であることを証明したのでした。

ジェンナーの長男への接種実験は、その当時、豚に発生していた豚痘を用いたもので、そのことが牛痘接種実験の解釈に混乱を招く結果となったと思われるようです。そのあたりの経緯について、オリジナルの英文で書かれたヒックス博士の論文とともに以下に載せています。お読みになれば、日本特有であるが、偉人に対する間違った認識であったことが理解できます。




ジェンナーのわが子豚痘接種物語

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